Year: 2018

September 18, 2018 Yuuki Nishiyama 0 Comments

前回の続きでMobileHCI2018の参加報告です。今回は、自分の発表内容について。 デモ&ポスター会場 デモ&ポスターセッションは、初日のレセプション(会議の歓迎会)中に行われました。レセプションでは、ワインやタパスなどがふるまわれ、ザ・スペインと言った感じ。写真は、会場の全体像とタパス。一つの発表に付き一つブースが割り当てられ、そこで発表を行います。 自分のブースはこんな感じ。 Best Demo & Postor Awardは、参加者の方々の投票で決まるので「投票忘れないでね!」との看板が!各自3票持っており、それぞれ好きなデモに投票する仕組み。投票箱の写真も撮影しとけば良かった。。。 発表内容 前置きが長くなりましたが、発表内容について。今回は、慶應時代から研究を続けているSenbayというセンシングプラットフォームの発表を行いました。以下はプラットフォームのデモ動画です。  Yuuki Nishiyama, Anind K. Dey, Denzil Ferreira, Takuro Yonezawa, and Jin Nakazawa. 2018. Senbay: a platform for instantly capturing, integrating, and restreaming of synchronized multiple sensor-data streams. In Proceedings of the 20th International Conference on Human-Computer Interaction with Mobile Devices and Services Adjunct (MobileHCI ’18). ACM, New York, NY, USA, 291-291. DOI: https://doi.org/10.1145/3236112.3236154 Senbayは、スマートフォンで映像を撮影しながら、リアルタイムに映像にセンサデータ(位置情報やモーションセンサ、外部の無線センサ)を二次元コードとして埋め込むプラットフォームです。二次元コードを読むだけで、映像と同期したセンサデータを取得できるので、例えば、映像の拡張(振動のフォードバック)や、旅行/イベントの記録/共有、機械学習のデータセット収集での利用を想定しています。(Senbayの詳細はこちらへ) 今回の発表では、動画に二次元コードを埋め込む「Senbay Camera」と、二次元コードをセンサデータに再変換・配送する「Senbay Reader」「Senbay Studio」を使ったデモを行いました。その場でSenbay Cameraを使って二次元コードがリアルタイムに埋め込まれることをデモし、その後、Senbay Reader & Studioでデータ取り出し可能なことをデモしました。   これまで世界中で撮影した映像(スポーツや旅行、実験のデータセットなど)は、YouTube(Senbay Channel)にアップしているので、是非ご覧ください!またアプリは、AppStoreからダウンロード可能です。 [Senbay Camera] [Senbay Camera Pro] [Senbay Reader] [Senbay Studio]   Senbay Camera & Senbay Reader Senbay Studio 結果 デモが派手だったこともあり、多くの方にプラットフォームを見ていただき、フィードバックもいただきました!やはり動くQRコードに皆さん気になるみたい。GoogleのYouTubeチームの方も興味持ってくれたのは嬉しい収穫。「ライブラリ版」と「Android版」のリクエストが多かったので、何とか実現したいと思います。(ライブラリ版は、ほぼ完成しているので、近々リリース予定) 投票の結果、残念ながらBest Demo Awardでは無かったですが、Honorable Mention Awardに選んでいただきました!!!継続は力なりで、3年間以上、地道(ほぼ趣味の域)に開発し続けた成果がやっと少し身を結びました。 何はともあれ、Dr. Denzil Ferreira(オウル大学)とProf. Anind K. Dey(ワシントン大学)と共著で論文を執筆できたことは、かなり大きな経験になりました。プラットフォーム系の論文は、論文誌・国際学会フルペーパーに通すのが難しくかなり苦労していますが、何とか論文誌 or 国際学会フルペーパーまで繋げたいと思います!

September 17, 2018 Yuuki Nishiyama 0 Comments

9月3-6日にスペイン・バルセロナで開催された ACM MobileHCI 2018 に参加してきたのでその報告。 MobileHCIとは Conference on Human-Computer Interaction with Mobile Devices and Services (MobileHCI) は、その名の通りモバイル端末とサービス間における人間とコンピューターのインタクラションについての会議です。ACM(Association for Computing Machinery)SIGCHIにサポートされており、今回で20回目の開催(詳しくはこちら)。オープン二ングでは、20年前との変化についても触れられていました。会場は、Pompeu Fabra Universityで、有名なサクラダファミリアに徒歩で行ける、バルセロナのど真ん中にある大学です。 これまでもMobileHCIで発表された論文はチェックしていましたが、学会自体に参加したことは無かったので、非常に楽しみにしていた会議の一つです。今回はデモセッションにてSenbayと言うセンシングプラットフォームを発表してきました。(そしてなんと、Honorable Mention Awardを受賞!) [発表論文] Yuuki Nishiyama, Anind K. Dey, Denzil Ferreira, Takuro Yonezawa, and Jin Nakazawa. 2018. Senbay: a platform for instantly capturing, integrating, and restreaming of synchronized multiple sensor-data streams. In Proceedings of the 20th International Conference on Human-Computer Interaction with Mobile Devices and Services Adjunct (MobileHCI ’18). ACM, New York, NY, USA, 291-291. DOI: https://doi.org/10.1145/3236112.3236154 プログラム 一日目:Workshops 二日目:Opening + Keynote1 + Session1-5 + Demos&Posters 三日目:Session6-10 + Panel + Conference Dinner 四日目:Session11-12 + Keynote2 Opening メイン会場の風景。 今年は、218本の論文投稿があり、50本がアクセプト。採択率は23.4%。 1998年と2018年の投稿論文から作成したタグクラウドを比較。SmartphoneやVR、ARなど20年前には存在しなかったモノが登場している。 国別に参加者を見ると、アメリカ・イギリス・ドイツ・韓国が多く、その次に日本、スペイン、フィンランド。日本からも北海道大学とYahoo Japan、同志社大学のチームが発表に来ていました。   Keynote 1 Keynote一人目は、Prof. James A. Landay。スタンフォード大学の教授で、私がよく論文を引用するDr. Sunny Consolvoの師匠。モバイルデバイス…

September 16, 2018 Yuuki Nishiyama 0 Comments

現在所属しているオウル大学、Center for Ubiquitous Computingの紹介。 Center for Ubiquitous Computing は、オウル大学 Faculty of Information Technology and Electrical Engineering(直訳すると電子工学・情報技術学部)の中にあるラボです。現在、3人の教授陣と、5人のSenior Research Fellows(任期付きの助手ぐらいのポジション?)、自分も含めて8人のポスドク、11人のPhD学生、10名のRA(修士学生)が所属している大学内のラボとしてはかなり大きな組織です。(所属メンバーの詳細はこちら) ラボは非常に国際的で、EU各国はもちろんのこと、アフリカ・南米・アジアから多くの研究者が集まっています。ラボの入り口にある世界地図には、ラボ所属者の出身地にピンが刺しています。フィンランド人も所属していますが、母国語がフィンランド語以外の人が半分以上なので、ラボでのコミュニケーションは基本的に英語です。 研究分野は、 Digital Health Edge Computing Social Media Civic Engagement Internet of Things Natural Language Processing 3D Printing Digital Fabrication Augmented, Virtual Mixed Reality Mobile Computing / Human-Computer Interaction 5G/6G Artificial Intelligence などなど、かなり幅広い分野を対象にしています。 その中でも私は、Dr. Denzil Ferreira がリードするMobile Computing / Human-Computer InteractionやDigital Healthが対象の研究チームに所属しています。彼の博士論文では、AWAREと言うオープンソースのモバイル・IoTセンシング基盤(クライアントとサーバサイドの両方)を開発しており、その基盤をうまく活用したセンシングとその計測データを用いた問題解決を軸に研究しています。特に最近は、医療機関と共同でヘルスケア・予防医療・介護サポート系の研究に力を入れています。(日本と同じくフィンランド社会でも少子高齢化は大きな社会問題になっており、研究分野的にその辺りの研究テーマは重要視されているみたいです。) 具体的には、以下のようなプロジェクトが、Academy of Finland(フィンランドの文部科学省)のサポートを受けて研究しています。 SENSATE: Entropy-AWARE Instrumentation for Just-In-Time Anomalous Human Behaviour Interventions STOP: Sentient Tracking Of Parkinson’s CARE: Context-awareness for Elderly Care   私自身の博士研究で必要だった、AWAREのiOS版クライアント(日本では約7割がiOSユーザなので)を開発したのが、私と彼との初めの繋がりです。それ以降、彼のプロジェクトにiOS版の開発者など様々な形でコミットしていた経緯もあり、今回ポスドクとして彼と働く事になりました。ちなみに、日本の大学で博士を取ってから、Center for Ubiquitous Computingに長期でポスドクとして働く人は、私が初らしいです(…責任重大!)。詳しい経緯は次回以降に書こうと思います! Center for Ubiquitous Computingのラボメンバーは、トップカンファレンスやACM/IEEEの論文誌にも積極的に投稿しており、研究のレベルは高い印象。この環境を生かせるかは自分次第。頑張れ俺!

September 15, 2018 Yuuki Nishiyama 0 Comments

自分の勉強も兼ねて、現在住んでいるフィンランド・オウルについて少しまとめようと思います。 フィンランド共和国 日本では、ムーミンやオーロラ、サンタクロースで有名な国だと思います。歴史的には、お隣のスウェーデンに約700年、その後ロシアに約100年占領されており、2017年に独立100周年を迎えたばかりです。 Wikipediaによると、フィンランドの面積は338,400㎢で日本(377,942㎢)より少し狭いぐらいの広さです。また、フィンランドの人口は約500万人に対して日本は約1億2000万人なので、フィンランドでは約44分の1の人口で、日本と同じ広さの土地に住んでいることになります。(ちなみに東京23区の人口が約950万人、横浜市が370万人なので、フィンランドの人口は東京23区より少ないく、横浜市より多いです。) フィンランドのほとんどの土地は平坦な地形で、氷河によって形成された湖が無数に点在しています。日本に住んでいると「森=山」のイメージですが、フィンランドでは「森=平地」で、国中に森が広がっています。 気候は場所によって大きく異なりますが、首都のヘルシンキでは一年を通して -8 ~ 21℃ぐらい、私が住んでいるオウルは-14 ~ 26℃だそうです。私がオウルに到着した日(3月)は-26℃だったので、寒い日はそれぐらい冷え込みます。 フィンランドの産業は、1980年以前は林業や農業が盛んでしたが、その後ハイテク産業にシフトします。特にノキアに代表される携帯電話産業が大きく発展し、ノキアは2011年までは世界最大の携帯電話端末メーカーでし。しかし、その後iPhoneやAndroidと言ったスマートフォン勢に押し負けて、携帯電話部門はマクロソフトに買収されます。携帯電話の通信設備では現在も世界第2位。 オウル オウルは、フィンランドの中部(と言っても2時間ほど車で走れば北極圏なのでほぼ北部)に位置する人口約15万人(国内第6位)のフィンランド北部の中心的な都市です。(人口だけで言うと、東京都多摩市ぐらいの規模)  オウルには、オウル大学(The University of Oulu)とオウル応用科学大学という二つの大学があり、私はオウル大学に所属しています。オウル大学は、フィンランド国内で3番目に大きな大学で、世界大学ランキングでは301-400位、コンピューターサイエンス部門では98位(東大:37位、京大:53位)にランクインしている大学です。特に無線通信分野が強く、5G・6Gの研究拠点でもあります。 ノキア通信部門のR&Dなど、ハイテク企業が多く研究拠点をかまえており、オウルではスタートアップも盛んです。町中にフリーの公共Wi-Fi、各バス停に設置された公共ディスプレイでバスの位置をリアルタイムに確認できるなど、先進的なサービスやそれを使った研究が行われています。日本と違って、バスは予定通りにほぼ来ないで、バス情報はかなり便利(-20℃の中、バス停では待てない。笑) ちなみに、日本でも有名な「エア・ギター世界選手権」が毎年開催される町でもあります。 日本人も居る!https://t.co/UWwqlHGe5i#airguitar #WorldChampionships2017 #Japanese pic.twitter.com/ifakWc2VOH — Yuuki NISHIYAMA (@tetujin23) August 25, 2017   今回は、フィンランド・オウルの概要をまとめてみたので、次は所属しているオウル大学のThe Center for Ubiquitous Computing について紹介しようと思います。  

September 9, 2018 Yuuki Nishiyama 0 Comments

慶應義塾大学で博士(政策・メディア)を取得してから約一年、フィンランド・オウル大学でのポスドク生活が始まって約半年が経ちました。 新しく自分の研究活動&成果を紹介するウェブページを作成したので、研究活動の記録・発信・振返りの為にブログを始めました! このブログでは主に、 海外大学でのポスドク生活 技術的なメモ 学会参加報告 本・論文の感想や意見 趣味(写真や旅行、スポーツ)…etc を投稿しようと思います。 日本国内の大学で博士を取得後に、海外大学でポスドク(給料は海外大学の研究資金から)として働くのは、比較的珍しいケースだと思うので、海外大学でポスドクを考えている現役博士学生の参考になれば幸いです。